『保有株を担保に高配当株投資』は本当にローリスク?知られざる税金とコストの落とし穴
この記事は、株取引経験はあるが信用取引経験のない人間が信用取引について検討してみたことをまとめた記事です。
著者はSBI証券を使っているため、それ以外の証券会社をご利用の場合は手数料などが異なる可能性があります。
また本記事では信用取引のリスクについては触れていません。実際に信用取引する際には、信用取引のリスクについても理解しておくことをおすすめします。
TL;DR
- 信用取引で高配当株を持つのはあまり得策ではなさそう
- 信用取引で保有している株(買い建て)で配当金(正しくは配当落調整金)を受け取る場合、元の配当金額の 67.48% しか手元に残らない
- (SBIの場合)信用買いの手数料が2.8% かかるので、4.15%(= 0.028 / 0.06748) 以上の配当率がないと単純計算だと赤字になる(キャピタルゲインや信用買い手数料以外の管理費などは考慮しない場合)
背景
会社の人と会話している中で、持ってる株を担保に信用取引をしているというような話を聞き、その方法が取れるのなら信用取引で高配当株持てばローリスクで安定収入が得られるのでは!? と思い色々調べてみた。
信用取引に関する基本的な情報
- 信用取引とは、証券会社から現金や株券を借りて売買を行う取引方法。
- 投資家は委託保証金を証券会社に担保として預託し、資金または証券を借りて取引を行う。
- 信用取引には「お金を借りて株式を買付する」信用買いと「株券を借りて株式を売却する」信用売りの2種類がある。
- 信用取引では、手元資金の約3倍までの取引が可能。
この4つ目の手元資金の部分を現金のみだと思っていたが、株や投資信託、海外株も担保にできる。
(ただし、NISA は対象外)
SBIでは、以下のレートで株や投資信託が証拠金になるらしい
- 国内株式:上場株式の80%
- 投資信託:投資信託の80%
- 海外株:概ね70% (詳しくは代用掛目変更のお知らせ)
これが可能なら、株とか投資信託で運用している資産を担保に、高配当株を信用で持てば、ローリスクで安定収入が得られるのでは?と思い、信用取引にかかるコストと、信用取引で保有した高配当株の配当金に関するコストを調べてみた。
参考にしたサイト
信用取引にかかるコスト
いくつかありそうだが、主にかかるコストは以下の二つかな
- 買方金利:借りた資金に対して支払う金利(年率2.8%程度、証券会社により異なる)
- 信用取引管理料:月毎にかかるがそんな高くない
参考にしたサイト
信用取引で保有している高配当株の配当金(配当落調整金)に関するコスト
厳密には、配当金ではなく配当落調整金というものがもらえるらしい。
配当所得ではなく譲渡所得なので、税金面での扱いが異なる。
実際入る金額が同じならまあいいかと思ったが、そこも異なる。
現物取引の場合
- 配当金は税率20.315%(所得税・特別復興所得税15.315%、住民税5%)が引かれた金額(79.685%)が手元に残る
信用取引の場合
- 現物で支払われる配当金を基準に計算されており、15.315%(所得税・特別復興所得税)が引かれた金額が手元に入るが、配当落調整金は譲渡損益として計算されるため、年間の累計損益が利益の時はさらに20.315%の課税対象となるため、最終的には元の配当金額の 67.48% しか手元に残らない
上記「信用取引にかかるコスト」で算出したコストを元に考えると、4.15%(= 0.028 / 0.06748)以上の配当率がないと赤字になる(キャピタルゲインや信用買い手数料以外の管理費などは考慮しない場合)
これだと、リスクに合っていない気がする。。。
信用取引で高配当株を所有した場合の簡単なシミュレーション
例えば、株価3,000円、配当利回り5%(年間配当150円)の銘柄を100株(30万円分)信用買いした場合
- 得られる配当(相当額):
配当落調整金として手元に残るのは、元の配当金15,000円の約67.5%、つまり 約10,125円 - かかる金利コスト:
300,000円 × 2.8% = 8,400円(年間) - 手元に残る利益:
10,125円 - 8,400円 = 1,725円
30万円分の取引を1年間行っても、手元に残る利益は2,000円に満たない計算になる。
株価下落のリスクを考えると、割に合わないと感じるかも。。。
参考にしたサイト
では、信用取引はどう使うべきか?
高配当株を信用取引で買うのはあまりいい選択ではないように感じたが、一方で、株や投資信託を信用取引の担保にできるというのは大きな学びだったので、以下のようなケースでは信用取引はやってもいいと思った。
- 株価下落時に、手元資金がなくても一時的に株を買い増したい場合(スポット買い)
- 短期的な株価の上下を狙ったスイングトレード
- 保有している現物株の下落ヘッジとして「つなぎ売り」に利用する
まとめ
- 信用取引の担保は現金だけでなく、株や投資信託でも可能(NISAは不可)
- 信用取引で持った高配当株から得られる配当金(配当落調整金)は現物取引で得られる配当金よりも多くの税金が取られる
- 信用取引にかかるコストを考えると、単純計算 4.15% の配当率があってやっとイーブンなので、リスクに対するリターンが低そう
※本記事は筆者の調査に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。